『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXII』ラノベ感想(ネタバレあり)
『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXII』のラノベ感想と言うか、備忘録です。
とうとう、ねじ巻き精霊、そしてアルデラミンの意味が明かされました。
最初に読み始めた頃から、ねじ巻きってどんな意味があるんだろうと思っていましたが、そんな意味が込められていたんですね(涙)
以下、ネタバレ全開なので、ご注意下さい。
第一章 三国会議
アラナイ博士を連れてきたキオカは、ラ・サイア・アルデラミンに何かしら思うところがあるのだろうと考えるイクタです。
一度帝国を裏切っているラ・サイア・アルデラミン。しかし、キオカとの二国になった場合、国力の劣る方が侵略されやすくなる。なら、そもそもなぜ帝国を裏切ったのかと言う疑問が湧いてくると。
教皇へ、戦後についての構想をうかがいたいと言うイクタです。
が、教皇に対し聖典の引用で口説き文句をひねり出したイクタに険のある声を出すシャミーユです(笑)
そして、シャミーユに対しても、サリア記16章8節、受難者サリアの最期を飾るエピソードを用いて、口説きます(笑)
そこにキオカの執政官アリオ・キャクレイが、二人に話があると連絡が。
執政官の提案に乗る二人。
イクタ、アリオになぜアラナイ博士を連れてきたのかを聞きます。
アリオが疑っているのは、戦争後、キオカとの力関係を維持ないし逆転できる切り札を持ってるのではないかと。
切り札を持っていること自体は当然だろうと。それは許容範囲だと言います。
しかし、それが精霊関連だとしたら話は変わってくると。
そもそも精霊とはなにかと。
人工精霊仮説。精霊は被造物であると言うアラナイの超古代文明論の根本をなす仮説。それを聞いて、精霊が自然物だと言う認識に違和感を覚えてきたと。
人の生活に不可欠なものを無償で提供してくれる精霊は、不自然だと。
そして神ではなく、人に作られたとするのではあれば、管理者がいるはずと。
それを踏まえて、ある日精霊が一斉に停止したらどうなるかと思うかを問います。。。
人間社会は大打撃、文明の水準は数百年巻き戻ると。。。
アリオ、ラ・サイア・アルデラミンが隠し持っている切り札は、この類のものではないかと、疑っています。
同じ頃、教皇イェーナシィ・ラプテスマとジャンが面会。アリオとイェナの二人の板挟みになるジャンです(笑)
そしてアリオ、ラ・サイア・アルデラミンの秘密を暴く気だと。先ほどの会談は、共闘の誘いでした。
今のところ断る理由はないと。
しかしそれでイェナとの対話の機会を無にしてしまわないかと心配するシャミーユ。
それを調整するためにも教皇、アナライ、ジャンとも話す必要があると言うイクタです。
そこにヨルガからの外交交渉の報告があります。
ヴァッキェが先頭に立って論陣を張っているため、みな萎縮はしてないと。
そしてトリスナイ宰相が抜群の働きを見せているとのこと。
イクタ、そのまま休ませずに細々とした仕事で忙殺させておいてくれと言います。
ヴァッキェはトリスナイに主導権を渡さないための配置だと。
そちらはヨルガに任せ、イクタたちはアナライのもとへ。
ハイテンションでイクタの肩を叩くアナライです(笑)
そして兄弟子のバジンと姉弟子ナズナにも挨拶です。ナズナとの抱擁(涙)
そして本題。ここに来た目的は精霊の真実を暴くことで間違い無いかと。
アナライ、答え合わせと言い換えてもいいと。
イクタ、全力でやってくれと言います。
アナライたちと会った後は、教皇の元へ。
イクタ、キオカとの関係がこじれて欲しいと言うより、貴国の思惑が知りたいと。
教皇、帝国との同盟の復活は求めないと。
イクタ、求めないのでは無いと、求められないのだと言います。
キオカを裏切れば、ラ・サイア・アルデラミンへの侵攻を開始するからと。
しかし、キオカの民も帝国の民も等しく幸福を望んでいると言う教皇です。
が、トリスナイに大司教神官位を与えたのは?と言うイクタ。
教皇、腐った帝国支部への三下り半だと。。。
トリスナイの大司教神官位の剥奪も当面は無いと言います。帝国への楔であり、保険だと。
また自分を責め出すシャミーユに、イクタは、話を止めてそれは違うと。
教皇、それを見て、シャミーユを育てているのですねと。
翌日、教皇と科学者の間で、戦いの第一幕が始まります。
アナライ、神とケンカをしに来たと(笑)
教皇に、なぜ科学をそこまで嫌うと。
数十年前に異端の烙印を押された時、このケンカの始まりを語ります。
そもそもアルデラはそこまで異端に厳しい宗教ではなかったと。なのにわしらのように小規模の集団を異端認定したケースはないと。
アルデラの異端認定は、国を脅かしかねない規模の集団に対するものだったと言います。
そして極め付けが、アナライ個人に与えられた負の称号、瀆神者。精霊との契約を不可能にする呪いです。
教皇、それは主神の御心に沿わなかったからと。
アナライ、では主神とは誰かと問います。
そして、知りたいのは、聖典が覆い隠してきた真実だと。
アナライ、精霊が人工物であることを確信していると。
全ての精霊は統一規格で作られていると。神は自分たちを作るのに、わざわざ定規なんて持ち出さないと言います。
精霊は鋳造と一緒だと。鋳造、規格統一、これらは人の都合から生み出された技術だと。
が、教皇、神は人と精霊とは違う方法で作っただけと。そしてなぜそうしたかの神の考えを推し量ってはいけないと言います。
アナライ、またそれかと、声に怒りが。いったい、いつまで神を黙らせておくのかと。
何も答えぬ神など神ではないと。ただの壁だと言います。
そして壁は乗り越えるものだと。
アラナイが出したのは、神殿の外壁の破片。今まで誰にも砕かれることのなかったものと。
いつか必ず内部に到達すると。そしてその中にあるものは、四大精霊の工場だと想像していると言います。
激論の末、休憩をイクタが提案、その日の論争はひとまず終了です。
外に出て、アナライに声をかける、イクタと、そしてジャン。
アナライ、二人とも知り合いなら新しい仲間を紹介する手間は省けたと(笑)
イクタ、ジャンにお前は僕の弟弟子だなと(笑)ジャン、ふざけるなと(笑)
取っ組み合いに発展です(笑)
部屋に連れ戻され、シャミーユからお説教です(笑)
反省するイクタ。でもイケメンは嫌いです(笑)
が、シャミーユ、イクタの顔について自分の思うところを衝動的に話します(*/ω\*)
シャミーユ、真っ赤(*´ω`*)
その頃、教皇は苦悶の色が。。。
そして翌日、教皇は1日の間をいただくと。
やる気満々のアナライは肩透かしをくらいます。
そしてイクタとシャミーユは、ジャンを呼び、昨日の件を謝罪。向こうも同じように謝罪です。
そして歓談がてら将棋はどうかと。
歓談・・・?平行線のまま変わらない意見が続きます。
イクタ、ジャンに最後にゆっくり休みを取ったのはいつかと。
ジャン、思い出せないと。
その後も話は続きますが、剣呑とした空気に(笑)
そして対局は全て千日手という結果です(笑)
交流を終えて部屋に戻る途中、シャミーユがヴァッキェに抱きつかれます(*´ω`*)
ヴァッキェも連れて、アラナイ博士のところへ。
そこにはアリオも。アリオの許可も得て中に入ります。
アナライに神殿の外壁の砕くなんて度肝を抜いたと。
アリオの前で、さらりと情報漏洩しようとするアナライに、弟子たちが大慌てで止めに入ります(笑)
イクタ、知りたいことは探れたと、その場を引きます。
その日の夜遅く、アリオのもとへ行くイクタ。
アリオ、彼女たちは元気かと。。。
怪我をしたことを言うイクタ。
そう簡単に使い潰して欲しくないものだと。。。
イクタ、才ある者を見出して、育て上げることに関してアリオほど卓抜した人はいないと。
ジャンや彼女たちだけでなく、エルルファイもその一人でした。
エルルファイにもジャンと同じように歪みを感じていたというイクタ。
そしてシャミーユも。。。
あなたは救える立場にあったはずだと非難するイクタです。
なぜ救わないのか。それは有用性が損なわれるからと。救われた人間ほどつまらないものはないと。。。
そしてアリオの昔話。尊敬し、懸想していた女性がいました。
しかし、貧しさを知っている彼女は、最初の頃は情熱を持って貧しい地域を助けていたが、富裕層の人間ばかりと接しているうちに、その情熱は失われていったと。
人生には二つの悲劇があると。一つは、夢が叶わなかった場合、もう一つは夢が叶った場合。前者は英雄を生み、後者は英雄を殺すと。
だから、前者を積極的に作り出し、後者だけは実現させないように目を光らせていると言うアリオ。。。
しかし、イクタ、人は自分が幸せになってこそ、より多くの人間に分け与えることができると。
翌日、前回と同じ面々が揃います。
が、何も言わない教皇。しかし、そこに精霊たちが一斉に口を開きます。
それに驚く一同。しかし誰よりも愕然としているのは、教皇。。。
教皇、神が試練を賜ったと。旅支度を整えて、精霊が指し示す場所へ向かえと。試練を乗り越えれば、神が何らかの答えをもたらすと言います。
第二章 神の試練
三つの軍勢が北を目指します。
神の試練とは何かと。宗教的に重要人物に課せられる無茶ぶりと言うイクタ。今回の場合だと、その人はアナライと推測です。
そしてこの試練は、教皇よりも上位の意思によって実行されているとみるべきだと。
その上位が何かを、確かめに行くと。
そして試練の地へ。
円の中心に立てと。円の中心を探します。数学ですね(笑)
それを当てると、次に示されたのは、北西です。
ちなみにルカーンティは、円の中心を求める話についていけずに涙目(笑)
ヨルガ、神の試練とは、いきなり幾何学を問われるものなのかと。
首を振るイクタです。
アルデラ教の試練とは、原則耐えしのぐものだと。
一方、アリオは外交官に、アナライを自由にさせていいのかと聞かれます。
しかし、アリオでさえ、アナライを籠絡することはできなかったと。
が、ひたつばかりの白旗では方針は変わらないと。
利用できる限り利用すると。
それ以降、神からの問題を解き続ける日々が始まります。イクタとジャンは競い合って問題を解き続けます(笑)
水を得た科学者たちと違って、暇な兵たちのために、親善試合をやったらという提案がイクタからあり、盛り上がる兵たちです。
ルカーンティ、ミアラにご指南をして欲しいと申し出ます。
ミアラ、ヤトリに負けた兄について溜め込んだものをルカーンティに吐き出します。
が、ルカーンティも兄を自慢することなら負けないと。
ルカーンティ、兄と同じように騎士として生き、騎士として死ぬことを望むと。ミアラはどうしたいのかと聞きます。
即座に答えの出ないミアラです。
ルカーンティ、ミアラにもっと自分の気持ちに素直になってもいいと。。。
そして去ろうとするルカーンティ。
頭の中でいくつかの事実が劇的に繋がるミアラ。。。ルカーンティの兄を殺した人を聞きます。。。
自分の愚かさを感じるミアラです。。。
イクタ、シャミーユのいる大馬車へ戻ります。
体を拭いてくるというイクタに、それは自分がやるというシャミーユ。
2年間やってきたシャミーユですが、それは寝ていたイクタに対しての慣れでした。
拭き続けるほどに、イクタへの愛おしさが募るシャミーユです(*/ω\*)
そしてぎゅっとして欲しいと思う、それを察するイクタ。
何もかも見抜かれています(*´ω`*)
親の役も、友達の役も、恋人の役も、全部やるイクタです。
出題数が重なるにつれ、数学以外にも必要な知識が求められるようになり、大きな時間と人手が必要となりました。
が、科学者たちは、さらなる情熱を持って謎解きに挑みます。
探索が必要な問題があり、効率よく進めるために二人一組に。そしてジャンとイクタが組むことに(笑)
そしてジャン、アリオからイクタを仲間に誘って来るように言われてました(笑)いくらなんでも無理だと(笑)
シャミーユ、アナライになぜ二人を組ませたのかと聞きます。
アナライの思惑は、二人をくっつけて、化学反応を見たいと。
イクタとヤトリの反応も劇的だったと言います。
その話を聞いて心が軋むシャミーユです。
しかし、アナライは、イクタがシャミーユを愛しているなら、ヤトリも同じだけど君を愛していると言うことだと。。。
一方、イクタとジャンは、藪の中に隠れていた縦穴に落ちてしまいます。
他の人が助けに来るのは明日の朝以降になると。
イクタ、ジャンに今までのことを話します。
ジャン、厳しいルートを選んでしまったことを謝ります。
そしてジャンも昔の話をします。
ラオで奴隷をしていたことがあったと。。。
そしてジャンの過去。
対立関係あったバユシエとラオ。
ジャンは、バユシエの北西部の都市に生まれました。
戦火は遠く、それを意識することなく幼少期を過ごします。
富裕な家庭で生まれたジャンは、幸福な日々を送っていたと。
しかし、十二歳の冬、頭脳明晰だったジャンは、家庭教師の教えを全て学んでしまいます。そこにジャンの姉が、ジャンをキオカの首都ノランドットに行かすべきだと提案。
バユシエの外に出すのを反対する父です。
そこに玄関の扉を叩く音が聞こえ、迎えに出るジャン。そこには見知らぬ大人が。。。
全員が家へ押し入ります。拘束される家族たちです。。。
そして連れていかれたのはラオの奴隷農場。。。
農場における奴隷の扱いは、過労死を前提とした消耗品です。。。
未成熟なジャンがそれに耐えられるはずもなく、その分の労働を家族が担うことに。
それでも彼らは良い家族だったと。。。
そしてたまに姉がもってくる出所不明の食べ物。。。その入手方法を察したのはずいぶん後のことだったと。。。
しかし、ジャンの記憶にある姉はいつも笑顔でした。。。素晴らしい姉ですね(涙)
そして2年を過ごし、生活は日毎に過酷さを増します。。。
必死に命を繋いでいる数年の間に、キオカがついに腰を上げ、ジャンはキオカの軍人に助けられました。
しかし、自分を守ってくれた家族は。。。すでに生き絶えていました。。。(涙)
生き残ったのは、ジャン一人です。。。
ジャンはその後、戦災孤児として、養育施設へ。
体は回復しましたが、労働に対する異常な執着を見せます。この頃から、睡眠に関する変調が出てきました。
そして誰もジャンが寝ている姿を見なくなったと。
その噂を聞きつけてやってきたのが、アリオです。
ジャン、自分が眠っている間にみんな死んでしまったと。もう眠りたくない、眠ってはいけないんだと(涙)
そして施設にか数ヶ月、元は茶髪の髪は全て白髪に。。。
ジャン、アリオに仕事をくれるかと。。。
アリオ、素晴らしいと。この子が人生最大の傑作になると確信に胸を躍らせます。。。
話は終わり、ジャンにラオを憎んでないのかと聞くイクタ。
そもそも憎む相手がいないのではねと。
あの戦争に正義なんかなかったと。不毛な共倒れ。その不毛さを二度と起こさせないと誓ったと。
そしてイクタに何のために帝国を守るのかを聞きます。帝政に先はない、こちらに干渉を受け入れてくれないかと。
しかし、イクタ、こっちの未来を預けても良い思えるほど、キオカの完成度を信頼していないと。。。
が、ならば君が協力したらどうなんだと言うジャン。それで戦略は2倍だと。
イクタ、その光を眩しいと。。。
しかし、おまえはいつ休むと。
その権利は後世に譲ると言うジャン。
そして死んだ後は、誰かが必ず自分の後に続くと。。。
イクタ、同じように生きさせて、同じように死なせる気かと、激昂。
アリオがやろうとしていることは、おまえのような英雄を無限に再生産するシステムだと。
国に尽くせることが、一番の幸せだと言うように、初めから教育してあるんだと。
それを聞いて思い出すのは、カーシャ・マスクス。
ジャンの全身を寒気が襲います。。。誰にも譲らずに済む日はいつ来るのだと。。。
イクタ、人を生かすために国が生まれた。断じてその逆ではないと。
大切な人が隣で生きている、その事実を噛み締めておけと言います。。。
そしてその後、夜が明けるまで、一言も言葉を交わすことはありませんでした。
翌朝、縦穴から救出されます。
ジャン、ミアラに話を持ちかけます。君をずっと不安にさせているだろうかと。
ルカーンティの言葉で素直になったミアラ、心配と告げます。
最近のジャンがずっと楽しそうだからと。
ジャンの幸せが、そちらの生き方にあるんじゃないかと。いつも背負っている大きな責任から、科学者たちと話している時は、解放されているように見えると。
が、ジャンはキオカのことを想わない時間なんて一瞬もないと言います。
しかし、ミアラはそれがおかしいと思うようになったと。なぜジャンだけが働かなくてはいけないのかと。
ジャンに生きていて欲しいと涙を流すミアラです(涙)
頑張った分だけ、幸せになって欲しいと。そうでないと、ジャンが死んだ時に、キオカを呪ってしまうと(涙)
あまりに痛ましい内心の吐露に、ジャンは衝動的にミアラを抱きしめます。。。
昨日とは全く変わってしまった世界の中で、ジャンはまだ最初の一歩を踏み出せずにいます。。。
そして二週間後。
試験開始からちょうど100問目。
全ての中心に独り立ち、その名を唱えよと。
今回は、平面、空間に加えて、時間軸も加わったと。
約1日で循環する円運動。
星空の中、動き続ける星々と、その中心に座してひとつ不動の星。
アナライは、観測された全ての円運動の中心に立ち、声高らかに口にします。
北極星(アルデラミン)と。
すると、地面が割れ、土の下から金属の何かが突き出します。
そしてアナライ、イクタ、ジャン、教皇の四人が中に入ることを許可されます。
第三章 ねじ巻き精霊
昇降機に乗って地下深くへ。
昇降機から降りて、見つけたのは、巨大サイズの精霊。
クスが、自分の魂石を抜いて、その精霊のうなじに入れてくれと。
そうすると、巨大精霊の両目が開きます。
クス、これは接客用の機体と言います。
案内されたのは応接間。飲み物を持ってきたクスです。コーラ(笑)
そしてクス、精霊は遥か昔、この星に繁栄していた文明によって造られたものだと。
クス、遥か昔の話を始めます。
西暦2267年、東京都千代田区霞ヶ関、株式会社テクニカ本社ビルで立花博士によるプレゼンが行われます。
この時代、ユーラシアの情勢は悪化の一途を辿っていると。
それを助けるのが、開発中の量産型人類援助ロボット、Assistant Elementsシリーズです。
コンセプトは低価格と循環システム。
AEシリーズができるのは、貧困地域の人々の生活水準を底上げすることで、できることは限られているとのこと。
そして紹介される四大精霊。
契約が一人一体なのも、少数による独占を防ぎ、協調を促すためです。
こうしてクスたちは造られました。
精霊たちのデビュー戦はインド、現在のカトヴァーナでした。
そして当時の人々は、別の星への移住を目指していました。
増え続ける人口、出生率の調整は、最後まで解決できなかったテーマだと。
そしてAEシリーズの開発から10年、彼らの受難が始まります。。。
西暦2277年、新型宇宙船、オデュッセイア。
地上へ向けての放送が始まろうとしたその時。。。
外宇宙へと乗り出すポテンシャルを秘めた船、人類の希望の船は、爆発しました。。。
そしてベルトラム動力炉が動作したまま地球上に落下したことにより発生した大災害。。。
津波により、死者は五億人を超えたと。。。
しかし、人類最大の痛打になったのは、これから始まった世界の分断でした。
ベルトラム機構から発せられる強力な電磁波は、世界中の通信をかき乱したと。。。
精霊の生産工場は無事でした。
そして精霊を求めて人々は続々とつめかけてきました。
そんな中、立花博士は合衆国の小型飛行機に招かれます。
そこで会ったのはベルトラム。ベルトラム機構の生みの親です。
この事件は、テロでした。
しかし、想定はしていたと。安全を期すなら後1年後にするべきだと具申もしていたと。
が、誰もが焦っていたと。早く結果を出さねばと。。。
立花、未来の話をしようと言います。
そしてベルトラムが語るとても暗い人類の未来の話。。。
ベルトラム機関は、数千年にわたって制御不能のまま稼働を続け、迂闊に手を出せば、二次災害を呼びかねないと。
暴走状態の炉心部が放って電磁波は、それによる悪影響は数え上げたらキリがないと。。。
立花は、人類の置かれた境遇が予測した最悪よりも下回っていることに愕然とします。。。
立花、AEシリーズの工場は増やせるかと聞かれ、全ての設計図を渡します。
しかし、AEシリーズが普及する見込みは低いと。。。世論は反科学一色だと。。。
そして立花に渡されたのは遺伝子操作の改修キットです。
環境変化を乗り切るため、肉体を改造するためのものと。
立花がやることは、工場を増やすこと、そして環境に適応できる新型人類を増やすことです。
そして数年、反科学の思想が、インドの方にも流れてきました。
大墜落(ザ・フォール)は、神による人類への罰だと。
穢れた知恵を捨てて、自然の意思に従うべきと。
が、彼らの大半は、精霊を連れてます(笑)
科学を非難しても、それを完全に放棄する覚悟があるのは少数です。
そしてベルトラム機関が完全に停止するのは、五千年以上先と。。。
立花、以前のような科学文明の復興はないかもしれないと。しかし、人類から科学を失わせるわけにはいかないと言います。
自分たちにできることは、知識を遺しておくことだと。
そして立花が研究していたのは、人間精神の情報化とその保存です。。。
さらに数年後、英雄ともてはやされた立花たちも、反科学主義の蔓延で立場は低くなっていき、官舎の一室からも追い出されることに。。。
街をでる立花と助手のサプナ。
目的地へ向かう途中、サプナは精霊たちは立花の愛でもあると言います。
AEシリーズがある限り、人々の間には立花の愛で満ちていると。
立花、精霊はねじ巻くものであって欲しいと。
人類の文明は一度止まる。オルゴールのように、動き出すにはネジをまく必要があると。人類が再び美しい音色を奏で始めるその日まで、揺るぎない愛情をもって、背中のネジを巻き続ける。精霊は人間のネジを巻くロボットです(涙)
そして着いた先は、遥か未来に文明を伝えるシェルター。
立花、サプナに結婚を申し込みます。サプナの両目から涙が(涙)
そこで二人は亡くなりました。。。(涙)
およそ五千年、この数字に特別な意味を人々は見出しました。
当時から数えて三度目の北極星の交代の時期、ポラリス、エライ、アルフィルク、そしてアルデラミン。その変遷を、神の怒りが鎮まる過程として捉えたと。。。
こうして生まれた信仰がアルデラ教です。
そして反科学に矛盾した精霊たちは、文字通り精霊として再定義されたと。
教皇はこの事を知っており、アルデラ教徒たちとは決して共有できない悩みを抱え続けてきました。。。
そしていくら教団の力を持ってしても、科学の芽を全て摘むことは不可能と。
教皇もまた一人で重すぎるものを背負ってきていました。
そしてクス、科学技術に関する知識の開示が行われるはずだったが、それを伝えることはできないと言います。
保存情報の開示は、対立関係のない全主要国家が、共同して知性水準の到達証明を果たすことが条件と。
キオカと帝国が戦争状態であることが問題です。
戦争を終わらせない限り、情報の開示はできないと。。。
自分たちがするべきことは、さっさと戦争を済ませることだと言うイクタ。
そしてここからは別々に話すことに。
イクタはクスの後についていきます。
技術開示の件とは別に気になっていることがあると言うイクタ。
ヤトリが息を引き取った後の行動は、クスとシアに促されてのことだったと。
そして人間精神の情報化と、魂の科学的な再現。
イクタ、彼女はここにいるのかと聞きます。
ヤトリの人格情報はたしかに保存されていると言うクス。
しかしあくまでも記録の一環だと。
人格の再現は、一つの仮説、夢物語だと。
そもそもその再現には、大墜落直前の水準を上回る文明が必要です。
それは何千年かかるかわかりません。
しかし、イクタは遠い未来に夢見ることができると。。。
そして地上へ戻ると、彼女たちに大半を打ち明けます。
決戦に向けての秒読みが始まります。
そしてアナライとの別れ。
この別れを最後に、彼ら師弟が再び会うことはなかったと。。。
あとがき
次の巻から決着に向かって動き出すとのこと。楽しみですね。